いざ,ヴュルツブルクへ(1995/9/3)

 今,EC51の車内である。滅多に使うことのなかった英語を,それでも何とか使って話をし,フランクフルトでホテルを押さえたはいいものの,車窓を見ながら時間を持て余していると,少し寂しい気もする。天気が薄曇りなのも多少は関係しているのかもしれない。車窓から眺めるドイツの景色は,なんだか懐かしく,新鮮というよりは昔懐かしいといった表現の方がぴったりするみたいだ。しばらく窓の景色を眺めていると,蒸気機関車とすれ違った。ドイツではまだ現役で活躍しているようだ。
 ここまでで,私は日本から遠く離れた地に居ることを,少し実感しはじめているのである。フランクフルト中央駅のトイレは有料で,50ハレルを支払わないと使うことができなかった。日本人の感覚としては,駅のトイレを使うのにお金を払うという感覚は余りなく(もっとも,新宿駅などの一部では有料のトイレもあるが・・・。),少し抵抗感を覚えるのである。それと,もう一つの違和感と言えば,今私は進行方向に向かって左側の座席に座っているのであるが,窓を見ているとよく列車とすれ違うのである。はじめはなんか落ち着かなく,また,その原因もよく分からなかったのであるが,なんのことはない。列車が日本と違って右側通行だったからである。日本では,進行方向にむかって左側の席に座ると,列車に追い越される事はあっても,すれ違うといったことはほとんど無い。そのためにこんなに違和感を覚えるのである。自分ではそんなに意識していなかったことが,別の国に来ると気になるなんて,やっぱり僕も日本人なんだなーと改めて思うのである。


 ヴュルツブルクに到着して,まずはじめに観光案内所を訪ねたのである。・・・しかし,お休みであった。入り口の扉を見ると,どうやら日曜日は休業日らしい。「なんで観光案内所が,日曜日に休むんだよー。おい!」っとここでも,日本人丸だしである。ともあれ,現地の情報も得られずに,ガイドブックを頼りに町へ繰り出したのである。

 ウインドウショッピングをしながら,ブラブラ町を歩き,博物館だか美術館だかを目指すのである。途中バスに出会った。「おー,やっぱり,○武バスとはちょっと違うねー。シャトルバスになってるよ。」などとどーでもいいことに感心しながら町をあるき,アイスクリームやホットドックをかじりながら,とにかくテフテフ町を歩くのである。
 おや?フランクフルトで280マルク払って無一文になったんじゃないの?とお思いの読者の方もおられる事でしょうが,フランクフルトでは,実はデポジットをとられなかったのである。見本市は人数が増えるから必要ないと思ったのかもしれない。いずれにしても,まだ280マルクまるまる手元にあるのである。そんなわけで,なんの気兼ねもなくホットドックをかじるのである。

 ブラブラしているうちに,レジデンツ(宮殿)に到着した。18世紀のドイツの有名な建築家の建てたものらしい。バルトハーザー・ノイマンとか言っていたような気がする。私は建物ももちろん好きなのであるが,ここに来た目的は,世界最大の天井フレスコ画があるというので,わざわざ立ち寄ったのである。別に趣味が絵を描くことでも,何でもないのだが,昔から絵をボーっと眺めるのが好きなのである。それに加え,私は「世界最大」とか「世界唯一」という言葉に弱い。どーでもいいものでも,「ほー,どれどれ。」と野次馬根性でノコノコいってしまうのである(^_^;)。ここに来たのも,まさしくそれである。

 入場料を払い中に入ろうとすると,「@!$&a*”」と理解できない言葉をかけられ,リックを引っ張られた。ドイツ語なのでちんぷんかんぷんである。よくよく聞いてみると,ロッカーだのなんだのと聞こえ,あっちの方を指さす。・・・うーん。なんだろう?よく考えてみたら,どうやら,荷物は持ち込めないようだ。ロッカーに預けろと言うことらしい。よく考えれば,大きい荷物は預けるのが常識ではある。しかし,日常リックなんか担いで美術館に行くことはあまりない。「こりゃどーも失礼。」と荷物をコインロッカーに預けるのだが,少し・・・いや,かなり恥ずかしかった。(^_^;)

 レジデンツでは,見学のツアーがでる。・・・というか,ツアーに入らないと自由には見せてもらえないのである。ドイツ語と英語のツアーを選べるが,私にはどっちもあまり変わらない。そんな訳で,早く出発するドイツ語のツアーに参加することにした。
 案の定,説明なんかよく分からない。でも,その方がかえって気楽である。ツアーの流れを気にせずに心ゆくまで天井の絵を眺めるのである。写真ではあまり伝わらないのが残念だが,綺麗で細かい絵なのである。ここはお薦めである。
 ちなみに,ここは,写真撮影もフラッシュも禁止の場所である。ほとんどの観光客は撮るし,ガイドさんも注意しないけど・・・。

 

 その後は,レジデンツの庭(写真)をブラブラとし,マリーエンベルク要塞を見学するのであるが,私はここで,膝を痛めてしまったのである。リュックタイプの旅行鞄を担いでウロウロしていたのであるが,これがまたかなり重いのである。15kgから20kgくらいあるかもしれないが,とにかく重いのである。一方で,私の履いている靴はウォーキングシューズというやつで,底が薄くてグニャグニャしている。後で聞いたことだが,重い荷物を背負って歩くときには,靴は底の堅いやつを履かないといけないそうな。
 これが原因かどうかは定かではないが,以後8日間,私は荷物のあるなしにかかわらず,30分以上歩くと足が棒の様になり,痙攣し始めて歩けない体になった。


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ここまで付き合ってあげれば,りゅーたつも満足だろうと思い,チェコへ行く。

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