Plzen その2


 9/15 いよいよチェコ出国の日になった。眠い目を擦りながら朝食を済ませ,駅へ向かう。例のドプリーおじさんの「ドプリー!」を聞くのもこれが最後だ。笑顔で挨拶を交わして,駅へ向かう。
 「そうだ!チェコKcからドイツマルクに両替しなきゃ!」駅へ向かいながら銀行を探すのである。比較的ホテルから近いところに銀行を見つけた。まだ朝の8時なのにやっているみたいだ。早速中に入り,マルクに替えてくれるように頼んだ。しかし,両替ができないとのこと。
 「なんでだー?」こんな事があるとは思っていなかったので,ちょっとビックリする。生憎受付に座っているお兄ちゃんは英語ができないようだ。片言の英語と,ジェスチャーで色々言っている。察するところ,両替した時の領収書見たいのに名前とパスポートNoがないからだめだという。
 チェコでは両替の際,領収書というか,両替をした金額等を書いた紙をくれるのであるが,この紙を持っていないと外貨に両替できない。外貨からの両替はいいのだけれど・・・。要するに,チェコで外貨をチェコKcに両替した分だけしか,チェコKcから外貨に両替ができないのである。このことはガイドブックに書いてあったので,両替の際にくれる紙を大事にしまっておいたのである。
 T/CからチェコKcに両替した場合,その紙に,名前,T/C No等を記載されるが,現金から両替した場合には何も記載されないのである。このお兄ちゃんは,どうやらこの記載がないからだめだと言っているらしい。
 そんなこと言ったって,現金からの両替だったんだから書かれなくて当然だろう!と英語で言ってみるものの,通じない。しょうがないので,T/Cから両替した時のものを出すが,これでもだめだという。
 「なんでだ?・・・どうしてだ?」色々聞いてみるが,だめだの一点張りで答えが見つからない。そうこうしている内に,だんだん腹が立ってきて,日本語で怒鳴り出してしまった(^_^;)。
 そんなことを繰り返すものの,詰まるところここの銀行は外貨に両替したくないのだということが何となく分かり,時間の無駄なので出ていく事にした。・・・といっても,腹立たしさも収まらないので,日本語で口汚いことを言いながら帰ってきたのである。こういうとき,日本語が通じないと言うのは便利なもので,言いたい放題言ってもだーれも文句言わないので,少しだけすっきりした・・・(^_^;)。
 そういえば,チェコの銀行は外貨に両替したがらないってガイドブックに書いてあったっけなー,と思いながら銀行を出るのである。

 ・・・とはいえ,チェコKcは今500kc強持っているわけで,貧乏な僕としてはドイツで食費の足しにでもしたいわけなのである。チェコで500Kcというのは意外と半端な金額で,チェコ産の物を買うには多すぎるし,外国の物を買うには少なすぎる金額である。・・・なんともいやはや・・・どうしたものか・・・?
 それに加え,まだ朝が早いので商店なんてやっているわけもなく,使い途に困りながらトボトボ駅に向かうのである。

 途中,昨日フラフラしていた際に立ち寄ったチキンスタンドにも行ってみるが,やはりまだやっていなかった。
 このチキンスタンドは,駅から共和国広場に行く途中の道路脇にあったのだが,要はローストチキンを売っているお店である。1羽丸ごとでも90Kc,1/2が45Kc,1/4が27Kcである。ここのおばちゃんも英語はできないので,チェコ語で「これ頂戴!」と言わないといけないが,なかなかどうして,ここのおばちゃんは商売気があるようで,言葉が通じなくても売ってやろうという気があるのでこちらも意外と楽に買うことができる。
 「これ頂戴。」というチェコ語は覚えたものの,その先の言葉は話せないので,どのサイズのチキンが欲しいのか伝えられない。現物もおばちゃんの後ろにあるので,指をさしてもよく分からないみたいだ。
 何をするかと思えば,おもむろにおばちゃんはナイフを取り出し,チキンをブスブス刺して目の前に突き出していく。
 チェコ語は分からないが,察するところ「これか?」とか聞いてるみたいだ。
 まずは一匹のやつに「ううん」と首を振ると,次は1/2,最後に1/4を突き出してくれた。こうして何とかチキンにありつくことができた。
 早速食べてみる。・・・うま〜〜〜い!(^o^)
 これは最高に美味しかった。塩加減が抜群!少し肌寒い気候だったので,なおさら暖かいチキンが美味しく感じたのかもしれない。
 よっぽど美味しそうに食べてたんでしょうね。おばちゃんが屋台から顔を覗かせて,親指を突き出してグッ(good)!
っとやってみせる。茶目っ気のあるおばちゃんだ事・・・(^_^)。お返しに同じようにやってみせると,おばちゃんは誇らしげな笑みを浮かべてまたチキンを焼き出すのである。さしもの日本だったら「そうだろう!あたしが焼いたチキンは日本一だからね!」とか言いそうな感じだった。
 そんなほのぼのした中でチキンを頬ばり,ニコニコしながら昨日観光をしていたわけである。その後にあのレストランの一件があったのだ。


 それはさておき,銀行で両替を断られ,トボトボ駅に来たのである。今日は雨だし,ここ何日かついてないみたいだ。
 駅について見渡すと,両替商が一軒ある。ダメもとで,もう一度やってみることにした。結果は・・・OK!万歳〜!(^o^)さっきの銀行よりレートも僅かながらいいようだし,かえってラッキーだったかもしれない。
 「うーん。今日はついてる!」と,さっきまでのことはすっかり忘れるのである。手持ちのお金の中から50Kc残すと,小銭も全て出してみる。あとは両替商のお兄ちゃんが適当にやってくれた。ドイツマルクで,約25マルク強になった。おー,昼食代にはなるな。よかったよかった。
 うきうきしながらお店を出ると,正面に郵便局があった。
 「切手でも買って帰ろうかな?」と思い立ち,3枚かう。ヨーロッパで共通のと,チェコのとどっちにすると聞かれたが,やはりここはチェコのだろう?!と,チェコのを買ったのである。

 あとは電車に乗るだけである。チェコでの旅行を思い出しつつ,さっき買った切手を見てニヤニヤしつつ,時間を潰すのである。
 チェコの最後の最後に,いい気分になれてよかったと思うのである。


あぁ,やっとドイツに戻るんだ!読み疲れしつつ次へ進む

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